中央区日本橋のビルで、屋上の防水改修工事を行いました。屋上は既存の塩ビシート防水を撤去し、通気緩衝工法のウレタン防水でやり直したうえで、遮熱タイプのトップコートで仕上げています。
あわせて、雨漏りしていたエレベーター室のクラックの止水、ペントハウスのトップコート塗り替えやベランダの防水などの付帯工事、5・6階セットバック部の補修(追加工事)まで、まとめて施工しました。
工事概要
| 建物 | ビル |
| エリア | 東京都中央区日本橋 |
| 施工箇所 | 屋上、ペントハウス、ベランダ、エレベーター室、5・6階セットバック部、室内天井 |
| 屋上(既存) | 塩ビシート防水(撤去) |
| 屋上 | ウレタン塗膜防水・通気緩衝工法 約70㎡ |
| 屋上の使用材料 | AGCのQVシート(通気緩衝シート)+日本特殊塗料のエバーコート(ウレタン防水材)+AGCのサラセーヌTサーモ(遮熱トップ) |
| トップコート | 屋上:サラセーヌTサーモ(遮熱)/ペントハウス・ベランダ:サラセーヌT |
| 屋上の付帯 | 改修用ドレン2か所、脱気筒3か所 |
| ベランダ | ウレタン防水+トップコート |
| エレベーター室 | クラックのVカット・止水・補修 |
| 追加工事 | 5・6階セットバック部 ガムクール貼り 約30㎡ |
| 工期 | 2026年6月〜8月(本体工事は6月、追加工事と仕上げは7〜8月) |
| 保証 | 屋上10年/セットバック部5年 |
施工前の状態
屋上の防水層は全体に傷みが進んでいました。いちばんひどい箇所はブルーシートで覆われ、立上り際もテープで応急処置されている状態です。


一段高いペントハウスの屋根も、トップコートが色あせて汚れが目立っていました。

室内では、天井に雨漏りの染みが出ていました。


さらに、エレベーター室ではコンクリートのクラック(ひび割れ)から水が入り込み、壁を伝って漏水していました。クラックに沿って、白い析出物(エフロレッセンス)が出ています。コンクリートの中を水が通り、成分が溶け出して固まったもので、水の通り道ができているサインです。





屋上の防水工事(ウレタン通気緩衝工法+遮熱トップ)
屋上は既存の塩ビシート防水を撤去し、新しく防水層をつくり直しました。面積は約70㎡です。
1. 清掃と既存の塩ビシート防水の撤去
既存の塩ビシートの上には泥がひどく堆積していて、そのままでは撤去に入れない状態でした。ペントハウスの高圧洗浄にあわせて、まずシートの上を清掃しています。

清掃が済んだところで、既存の塩ビシート防水をはがして撤去しました。はがしてみると、下地に水が入っていることが分かりました。防水層が傷んだまま雨を受け続け、その下まで水がまわっていた状態です。

2. QVシートの貼り付け(通気緩衝工法)
下地に水分が残っている屋上で、ウレタンを下地に直接密着させて塗ると、残った水分が日射で温められて水蒸気になり、防水層を内側から押し上げて「ふくれ」を起こします。
そこで今回は、通気緩衝工法を採用しました。下地の上に、通気層のあるAGCのQVシート(通気緩衝シート)を貼ってからウレタンを塗る工法で、シートの下を通して水蒸気を逃がし、脱気筒から外へ抜きます。

シートの端部(立上り際)には端末テープ、シート同士の継ぎ目にはジョイントテープを貼ります。ここが甘いと通気層が水の通り道になってしまうため、丁寧に処理します。


排水口には改修用ドレン(2か所)を差し込み、新しい防水層と一体にしました。脱気筒は3か所に設置しています。
3. ウレタン防水(2層)
ウレタン防水材を2層塗り重ねて、継ぎ目のない防水層をつくります。室外機の架台や配管が多い屋上でも、液体の防水材なので、すき間なく塗り込めます。
ウレタン防水材には、日本特殊塗料のエバーコートを使いました。当時は原油価格の影響でウレタン材の流通が不安定だったため、メーカーに問い合わせ、今回の仕様でエバーコートを使って施工できるか確認しています。対応可能との回答を得たうえで選んだ材料です。



4. 遮熱トップコート(サラセーヌTサーモ)で仕上げ
仕上げのトップコートには、遮熱タイプのサラセーヌTサーモを使いました。施主様のご要望を受け、材料を探して選定しました。日射を反射して屋上の表面温度の上昇を抑え、防水層の保護にもつながります。
ウレタン防水の2層目が済んだら、トップコートは早めに塗りました。防水層をむき出しのままにしておくと、雨水で汚れたり傷んだりするためです。


色はライトグレーです。
同じ中央区で、遮熱トップコートを使い、区の助成制度を活用した屋上防水の事例もあります。→ 【中央区】屋上防水改修|遮熱トップコートで助成金(上限10万円)を活用

エレベーター室のクラック漏水の止水
エレベーター室では、コンクリートのクラックから入った水が壁を伝って漏れていました。まず漏水している箇所を確かめます。


クラックは、表面を埋めるだけでは止まりません。ディスクグラインダーでクラックに沿ってV字の溝を切り(Vカット)、止水材がしっかり入り込む形にしてから埋めていきます。


Vカットした箇所を止水します。止水には、ケイ酸質系の止水材(セレガード)を使っています。



そのうえで、急硬性のセメント系補修材デンカキューテックスで補修して仕上げています。


付帯工事
屋上の防水とあわせて、次の付帯工事を行いました。
- ペントハウスのトップコート塗り替え
- ベランダのウレタン防水(トップコート仕上げ)
- 庇の水切り金物の取り付け(5・6階)
- 窓サッシまわりのシーリング打ち直し(5・6階)
- エレベーター室の止水(上の項目でご紹介したもの)
- 室内天井の塗装
ベランダのウレタン防水
窓の外の細長いベランダは、ウレタン防水材を塗ってから、トップコートで仕上げました。



ペントハウスのトップコート塗り替え
ペントハウスの屋根は、既存のウレタン防水層をメンテナンスする目的で、トップコートを塗り替えました。トップコートはウレタン防水層を紫外線から守る保護層で、防水層そのものより先に傷みます。定期的に塗り替えることで、下の防水層を長持ちさせられます。


庇の水切りとサッシのシーリング
5・6階の庇にはアルミの水切り金物を取り付け、雨水が壁を伝いにくいようにしました。窓サッシまわりは、劣化したシーリングを撤去して打ち直しています。

天井の塗装
雨漏りの染みが出ていた室内の天井は、屋上の防水で雨を止めたあとに塗装して仕上げました。

追加工事:5・6階セットバック部のガムクール貼り
5・6階のセットバック部(建物が段状に後退している部分の斜めの面)の下には、ベランダがあります。本体工事では、ベランダのサッシに雨水が直接当たらないよう、セットバック部の下端に雨どいを設置しました。

その後、雨水を雨どいで受けるだけでなく、セットバック部全体を防水した方がよいという判断になり、追加工事として防水層をつくることにしました。面積は約30㎡です。
既存の塗膜を下地処理したうえで、田島ルーフィングのガムクール(自着型の改質アスファルトシート)を貼っています。足場は組まず、上の階と下の階に分かれた職人が協力しながら貼りました。

シートの端末は金物で押さえて留め、両端部も留めています。雨水や風でシートがめくれたり飛ばされたりしないようにするためです。

完工後の雨天確認と増し塗り
屋上のトップコートを塗ったあと、雨の日に屋上へ上がり、水の溜まり方を確認しました。防水層がきちんと効いていることに加えて、水が溜まったまま残る箇所がないかを見ています。


水が溜まっていた箇所には、ウレタンを増し塗りしました。
費用
今回の費用の内訳です(税込)。
| 工事 | 内容 | 費用(税込) |
|---|---|---|
| 屋上防水 | 既存の塩ビシート防水の撤去、ウレタン防水(通気緩衝工法)約70㎡、遮熱トップコート、改修用ドレン、脱気筒 | 約97万円 |
| 付帯工事 | ペントハウスのトップ塗替え、ベランダのウレタン防水、庇の水切り金物、サッシのシール打ち直し、エレベーター室の止水、天井塗装 | 約36万円 |
| 養生・運搬・産廃・諸経費 | 約10万円 | |
| 追加工事 | 5・6階セットバック部 ガムクール貼り 約30㎡ | 約28万円 |
| 合計 | 約170万円 |
※各項目は1万円未満を四捨五入しているため、合計と一致しません。
屋上防水の費用は、面積や既存の防水層の状態、撤去が必要かどうかで変わります。実際の金額は、現地を確認してからお見積りします。
保証
保証は、屋上の防水が10年、5・6階セットバック部のガムクールが5年です。ウレタン防水の表面を守るトップコートは、5年を目安に塗り替えをおすすめしています。
屋上だけでなく、エレベーター室の漏水や外まわりの補修まで、窓口ひとつでまとめてご相談いただけます。ビル・アパートの改修については、小規模ビル・アパートの一棟改修工事のページにもまとめています。
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