江戸川区のRC造戸建てで、屋上と2階・3階のベランダの防水をやり直しました。屋上には人工芝のジョイントマットが全面に敷かれていて、めくってみると下のコンクリートには土砂がたまってコケが生え、ひび割れも出ていました。
この屋上の手すりは、コンクリートの台座に支柱を立てた「置き式」です。床の防水層を作り直しても、支柱の中を伝った雨水が台座の下に回ると、そこが弱点として残ります。今回は手すりの支柱13本にステムガードを注入し、手すりまわりの雨水の通り道もふさいでいます。
ご相談内容
「今後は人に貸す予定なので、誰も住んでいない今のうちに防水をやり直しておきたい」というご相談でした。雨漏りは起きていません。
入居者がいる状態で屋上やベランダの工事をすると、ベランダに出られない日をつくってもらうなど、日程の調整が必要になります。空いているうちなら、そうした調整なしで工事を進められます。
施工前の状態
屋上は全面に人工芝のジョイントマットが敷かれていました。人工芝はお客様に撤去していただき、その下の押えコンクリート(防水層の上に打たれたコンクリート)の状態を確認しています。
表面には土砂がたまり、目地沿いを中心にコケが生えていました。ひび割れも複数あります。パラペット(屋上の外周の立上り)にある溢水口には、モルタルの欠片が残っていました。

工事の内容
- 屋上:ウレタン防水 通気緩衝工法(約40㎡)
- 2階・3階のベランダ:ウレタン防水 通気緩衝工法
- 置き式手すりの支柱へのステムガード注入(13本)
- 改修ドレンの取り付け(屋上 縦型2箇所・横型2箇所、ベランダ 各階2箇所)
- 脱気筒の取り付け
- 押えコンクリートの目地処理、ひび割れ補修
- 屋上出入口まわりの外壁(タイル面)への防水層の立ち上げ
- サッシ廻りのシーリング打ち替え
屋上の工程は、高圧洗浄 → 目地処理・ひび割れ補修 → プライマー → 通気緩衝シートの敷設・脱気筒と改修ドレンの取り付け → ウレタン防水2層 → トップコート の順です。
押えコンクリートの目地処理
押えコンクリートには、伸び縮みを逃がすための目地が格子状に入っています。この屋上の目地には樹脂製の縁切り材が入っていたため、すべて撤去しました。撤去した溝にバックアップ材(シーリングの深さを調整する発泡材)を入れ、ウレタンシールで埋めて平らにします。
通気緩衝シートを張る前に目地を処理しておかないと、溝の上に乗ったシートが、後から目地の形に落ちてしまいます。仕上げにも目地の筋が出てしまうため、シートを張る前に溝を埋めて、下地を平らにそろえておきます。

屋上の手すり支柱からの雨漏りを防ぐ「ステムガード」注入
この屋上の手すりは、コンクリートの台座に支柱を固定して床に置いた「置き式」です。支柱と台座が一体になった架台で、屋上の外周に13本並んでいます。
手すりの支柱は、中が空洞のパイプです。支柱の中に入った雨水は、中を伝って下へ落ち、そのまま台座の下まで回ります。床の防水層をきれいに作り直しても、台座の下に水が回り続ければ、そこが雨水の入り口として残ります。屋上の手すりまわりからの雨漏りは、こうした経路で起きることがあります。
そこで、支柱の根元に穴をあけ、支柱の中にステムガード(支柱の内部に注入する止水材)を注入しました。支柱の中を落ちてきた水を台座の手前で止め、水抜き穴から外へ出す仕組みです。
台座はウレタン防水材で覆い、床の防水層と一体にしています。台座と床の境目に継ぎ目を残さない納まりです。
なお、手すりを斜めに支えている控えは、中まで詰まった丸棒で、水が中を伝うことがないため注入の対象外です。

屋上の防水工事(ウレタン通気緩衝工法)
屋上の防水は、ウレタン防水の通気緩衝工法です。下地の上に通気緩衝シートを敷いてからウレタンを塗るので、コンクリートに残った水分が蒸気になっても、シートの下を通って脱気筒から外へ抜けます。古い屋上で起きやすい、防水層の膨れを防ぐための工法です。仕上げはグレーのトップコートです。
脱気筒は1本
脱気筒は、約40㎡の屋上に1本取り付けました。脱気筒1本で受け持てる面積はメーカーの規格で決まっていて、今回の広さはその範囲に収まります。
別の会社のお見積では2本の計画だったと伺いました。本数を増やすこと自体は間違いではありませんが、脱気筒は防水層を貫いて立てる部材でもあるため、当社では規格の範囲内で必要な本数にとどめています。

改修ドレン
排水口には改修ドレンを取り付けました。既存の排水口に新しいドレンの筒を差し込み、まわりの鍔(つば)をローラーで圧着して下地に貼り付けます。
鍔のまわりはシーリングで接着し、その上からウレタンを増し塗りして、新しい防水層と一体にします。雨水は改修ドレンの筒を通って既存の排水管へ流れるので、古い排水口と防水層のすき間に水が回りにくくなります。
屋上は縦型2箇所・横型(パラペットの排水口)2箇所、ベランダは各階2箇所に取り付けています。

屋上出入口まわりの外壁(タイル面)
屋上の出入口まわりは、床から立上りがなく、外壁のタイルに床が直接突き付けた納まりでした。このままでは、床の防水層の端(端末)を納める場所がありません。
そこで、タイル面にマスキングテープで線を出し、床から10cmの高さまで防水層を立ち上げて端末を納めました。床と壁の入隅(いりすみ)に継ぎ目を残さず、防水層で覆う形です。

2階・3階のベランダ
2階・3階のベランダも同じ作りで、どちらも屋上と同じ通気緩衝工法で防水をやり直しました。高圧洗浄のあと、床のひび割れと目地を処理し、改修ドレンと脱気筒を取り付けてから、ウレタン防水を2層塗ってトップコートで仕上げています。壁際の立上りまで一体で塗り込んでいます。

工期・費用・保証
工期は2026年10月・6日間です(7日の高圧洗浄から12日の完工まで)。このほか、サッシ廻りのシーリングの打ち替えもあわせて行いました。
費用は、屋上の防水(通気緩衝工法・約40㎡)、2階・3階のベランダの防水、ステムガード注入(13本)、サッシ廻りのシーリング打ち替えをすべて含めて、税込で約89万円です。
保証は、屋上・ベランダとも通気緩衝工法で10年です。
人工芝を敷いた屋上と、賃貸に出す前の防水
人工芝やジョイントマットを敷いた屋上は、防水の傷みに気づきにくくなります。表面が見えないうえ、マットの下は雨のあとも乾きにくく、土やコケがたまっていきます。雨漏りが起きていなくても、マットをめくると下地がかなり傷んでいることは珍しくありません。何年もめくっていない場合は、一度下の状態を確かめてみてください。
賃貸に出す予定の建物なら、入居前に防水を済ませておくと、入居後に屋上やベランダの工事をせずに済みます。工事中はベランダに出られない日があり、においや作業の音も出るため、入居者がいると日程の調整が欠かせません。空室のうちなら、そうした調整なしで進められます。
屋上の手すりが置き式の場合は、防水と一緒に支柱のまわりも見ておくと安心です。雨漏りの原因や調べ方は、雨漏り修理のページにまとめています。
防水・外壁改修工事は、適切な工法と確かな施工技術によって、建物の寿命を大きく延ばすことができます。有限会社丸山防水工業は、東京都江東区で祖父の代から三代続く防水工事専門業者です。自社職人が責任を持って施工いたします。
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