
中央区明石町にて、屋上・ベランダ・階段下ベランダの3か所の防水改修工事を行いました。
当初のご相談は「屋上を防水し直すときに遮熱のトップコートを使って、中央区の助成制度を申請したい」というものでした。ところが高圧洗浄を進めるうちに屋上に膨れが目立ちはじめ、下地を確認させていただいたところ、想定していなかった状態が見つかります。
最終的に工法を変更してお引き渡しとなった工事です。判断の経緯までご紹介します。
工事の概要
| 所在地 | 東京都中央区明石町 |
| 施工箇所 | 屋上/ベランダ/階段下ベランダ |
| 施工面積 | 計73.87㎡(屋上51.50㎡・階段下ベランダ14.13㎡・ベランダ8.24㎡) |
| 工法 | 屋上・ベランダ=ウレタン通気緩衝工法/階段下ベランダ=ウレタン密着工法 |
| 主な使用材料 | AGCサラセーヌ/トップコート=TSサーモ(遮熱ライトグレー) |
| 工期 | 約3週間 |
| 保証 | 防水工事 10年 |
ご相談は「屋上の遮熱塗装で区の助成を使いたい」から始まりました
最初のご相談時点では、屋上に膨れなどの異常は見られませんでした。経年による劣化が進んできたため、この機会に防水をやり直したい。そして屋上のトップコートを遮熱仕様にして、中央区の助成制度を申請したい。それがご依頼の内容でした。
中央区の「自然エネルギー及び省エネルギー機器等導入費助成」
この制度は、太陽光発電やエアコン、LED照明などと並んで「高反射率塗料等」が対象区分に含まれています。
つまり、屋上防水のトップコートを遮熱仕様にすると、助成の対象になります。
- 助成額:対象経費の20%・上限10万円
- 対象経費には、遮熱塗料そのものだけでなく、直接工事に関係する防水工事の費用や、高圧洗浄などの清掃作業費も含まれます(いずれも申請対象部分のみ)
- 申請は着工前に行う必要があります
制度名だけを見ると太陽光やLEDの話に見えるため、防水工事の改修を検討している方がこの制度にたどり着けていないケースがほとんどです。屋上や陸屋根の防水改修をお考えの中央区の建物オーナー様は、一度ご確認いただく価値があります。

制度の内容・金額・受付状況は年度により変わります。最新の情報は中央区の窓口でご確認ください。
高圧洗浄を進めると、膨れが目立ちはじめました

施工は高圧洗浄から始まります。表面の汚れや脆くなった部分を落としていくと、事前の調査では目立たなかった膨れが、あちこちに見えるようになってきました。

膨れがあるということは、防水層の下に何かが起きているということです。このまま予定どおり進めるべきか判断できなかったため、下地の状態を確認させていただけないかとお客様にご相談し、ご了承をいただいたうえで、既存のウレタン防水層を撤去しました。
撤去してみると、下地全体に水が回っていました

剥がしてみて分かったのは、膨れていた箇所だけの問題ではなかったということです。

防水層の下のコンクリート下地に、全面にわたって水が回っていました。さらに、ところどころにひび割れも見つかりました。

密着工法から通気緩衝工法へ、変更をご提案しました
なぜ密着工法ではいけないのか
ウレタン防水には大きく2つの工法があります。
- 密着工法:下地に直接ウレタンを塗り重ねる方法
- 通気緩衝工法:下地との間に通気層のシートを挟み、脱気筒から湿気を逃がす方法

水を含んだ下地の上に密着工法で防水層をつくると、その水の逃げ場がなくなります。夏場に太陽で温められた水分は水蒸気になって膨張し、上に乗っている防水層を内側から押し上げます。これが膨れの正体です。
つまり、このまま密着工法で仕上げても、数年後に同じ膨れが再発する可能性が高い。「きれいに仕上がったけれど、確実な施工とは言えない状態」になってしまいます。
費用が上がることも含めてご説明しました
そこで、既存のウレタン防水層を全面撤去したうえで、通気緩衝工法に変更することをご提案しました。撤去の手間と材料が増えるため、当初のお見積りより費用が上がります。その点も含めてご説明し、ご納得いただいたうえでの変更です。
助成制度が維持できることを、区に確認してからご提案しました
工法を変更するとなると、お客様にとって一番不安なのは「申請済みの助成金はどうなるのか」という点だと思います。
そのため、変更をご提案する前に中央区に確認を取りました。工法が変わっても、遮熱塗料を使うこと自体が変わらなければ助成の対象から外れないとの回答をいただいたうえで、お客様にお話ししています。
ベランダは「膨れの補修だけ」のはずが、全面撤去になりました

ベランダについては、当初から「膨れているところがある」とうかがっていました。当初の予定は、膨れの中の水を抜いて、その部分だけを補修するというものです。

ところが、膨れをカットしてみると──

こちらも、膨れた部分だけの話ではありませんでした。下地の全体に水が入っていたため、屋上と同様に全面撤去のうえ通気緩衝工法で施工しています。
膨れた原因
既存の防水層には、通気層のシートがすでに施工されていました。ただし、脱気筒が設置されていませんでした。
通気層は、湿気の「逃げ道」があってはじめて機能します。シートを敷いても、そこから外に抜ける出口がなければ、湿気は行き場を失って溜まり続けます。逃げ場のない水蒸気が防水層を押し上げた結果が、今回の膨れでした。
今回の施工では、屋上に2本、ベランダに1本、脱気筒を新設しています。
施工の流れ
下地処理
撤去後の下地をケレン処理し、カチオン系の材料で平滑に整えます。ひび割れや欠損部はここで補修します。下地が整っていないと、この上に何を塗っても長持ちしません。

通気緩衝シートの敷設
下地と防水層の間に通気層をつくるシート(QVシート)を敷き込みます。


脱気筒の設置
通気層に溜まった湿気を外へ逃がすための脱気筒を設置します。屋上2本、ベランダ1本。


ドレン(排水口)の改修
排水口まわりは、屋上・ベランダのなかで最も漏水が起きやすい箇所のひとつです。今回は鉛製の改修用ドレンを取り付けています。

ウレタン防水材の塗布(2層)
ウレタン防水材を2層に分けて塗り重ねます。規定の厚みを確保するための工程です。


なお、階段下ベランダについては膨れや下地の含水が見られなかったため、既存と同じ密着工法で施工しています。
遮熱トップコートの塗布
仕上げに、助成制度の対象となる遮熱トップコート(TSサーモ/遮熱ライトグレー)を塗布します。

フェンスからの浸水も見つかりました
屋上の作業を進めるなかで、フェンスの支柱からも水が入っている可能性に気づきました。
そこでお客様にその旨をお伝えし、確認と対応をさせていただいてよいかご相談したところ、ご依頼をいただいたため施工しています。
実際に支柱に穴を開けてみると──

支柱の内部に水が溜まっていました。フェンスの支柱は建物に直接固定されているため、内部に溜まった水が下へ伝って建物側へ回り込むことがあります。
支柱16本に注入剤(田島ルーフィング製ステムガード)を注入し、蓋をして仕上げました。


フェンス支柱へのステムガード注入は、【墨田区向島】の施工実績記事でも詳しくご紹介しています。
完工


3か所すべての防水工事が完了しました。防水工事の保証は10年間です。
屋上防水の改修をご検討中の方へ
今回の工事から、2つお伝えできることがあります。
1つめは、遮熱トップコートを選ぶと中央区の助成制度が使えることです。
工事の内容そのものは変わりません。トップコートの種類を選ぶだけで、対象経費の20%(上限10万円)が助成されます。しかも対象経費は塗料代だけでなく、その部分の防水工事費や高圧洗浄費も含まれます。申請は着工前に必要ですので、ご検討の段階でお声がけください。
2つめは、表面を見ただけでは下地の状態は分からないということです。
今回の屋上は、ご相談をいただいた時点では膨れも見られない状態でした。それでも剥がしてみると、下地全体に水が回っていた。逆に言えば、剥がして確認したからこそ、適切な工法を選ぶことができました。
弊社では、工事の途中で当初の想定と異なる状態が見つかった場合、その場で判断して進めるのではなく、必ずお客様にご相談してから作業を進めます。費用が変わる場合はその点も含めてご説明します。
屋上やベランダの防水改修、雨漏りでお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。
弊社の対応エリアは江東区・墨田区・江戸川区が中心ですが、今回のように中央区など近隣エリアの工事もお受けしています。エリアについてもお気軽にお問い合わせください。
防水・外壁改修工事は、適切な工法と確かな施工技術によって、建物の寿命を大きく延ばすことができます。有限会社丸山防水工業は、創業以来60年以上にわたり防水工事を専門に手がけてきた自社職人が、責任を持って施工いたします。
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