世田谷区の戸建て住宅で、屋上(陸屋根)の防水改修工事を行いました。
もともとは長尺シートが敷かれていましたが、その下にはさらにFRP防水の層があり、防水層が二重になっている状態でした。木下地まで雨水がまわっていたため、上から重ねるのではなく、既存の防水層をすべて撤去して一からやり直しています。
工事概要
| 建物 | 戸建て住宅 |
| エリア | 東京都世田谷区 |
| 施工箇所 | 屋上(陸屋根) |
| 既存の状態 | 長尺シート+FRP防水(二重)/木下地まで雨水が浸入 |
| 工事内容 | 既存防水層の全面撤去、腐朽した木下地の造作、ウレタン塗膜防水 |
| 平場 | ウレタン塗膜防水・通気緩衝工法 26㎡ |
| 立上り | ウレタン塗膜防水・密着工法 8.76㎡(高さ300mm×延長29.2m) |
| 使用材料 | AGC サラセーヌ(通気緩衝工法) |
| トップコート | グレー |
| 付帯 | 脱気筒2本 |
| 工期 | 2026年8月・実働4〜6日 |
| 保証 | 10年 |
施工前の状態
屋上は細長い形状で、床には長尺シートが敷かれていました。
長尺シートそのものに大きな破れはなく、写真で見るかぎりは比較的きれいな状態に見えます。


ただ、掲載しているこの施工前の写真では分かりにくいのですが、実際に屋上へ上がってみると、床のあちこちが膨れて大きく歪んでいるのが、目で見てはっきり分かる状態でした。歩けばなおさらで、足の裏から膨れの範囲が伝わってきます。
床が膨れて波打つのは、防水層の下に水がまわっているサインです。入り込んだ水が日射で温められて水蒸気になり、逃げ場を失って防水層を内側から押し上げるために起こります。表面がきれいに見えても、その下では劣化が進んでいます。
同じような陸屋根やルーフバルコニーをお持ちの方は、一度上がって床を見てみてください。写真や遠目には問題なく見えても、床が膨れていたり波打って歪んでいたりしたら、防水層の下で劣化が進んでいるサインです。
今回もこの膨れと歪みから「防水層の下まで水がまわっている」と判断して、工事に入りました。実際に撤去してみると、下地は浸水していただけでなく、木造の下地そのものが大きく歪み、腐っている状態でした。
長尺シートは、屋上やバルコニーの歩行面に敷く床材で、それ自体は防水層ではありません。下にある防水層を保護し、歩きやすくするためのものです。
つまり本来の防水は、長尺シートの下にあるFRP防水層が担っていました。そのFRPが傷んで水を通していたため、上の長尺シートを剥がさない限り、原因のある場所には手が届きません。
今回は表面だけを直しても意味がないと判断し、長尺シート・FRP防水の両方を全面撤去することにしました。あわせて、下地に水分が残っている以上、新しい防水層はその水分を逃がせる工法でつくる必要があります。この判断が、あとで説明する通気緩衝工法の選択につながっています。
施工内容
1. 既存の長尺シート・FRP防水の撤去
まず長尺シートを剥がしていきます。接着剤で貼られているため、一枚ずつ起こしながらの作業になります。

シートの下からはFRP防水層が現れました。こちらも合わせて撤去し、木下地が出るところまで戻します。

2. 腐っていた木下地を撤去し、コンパネで造作(追加工事)
この屋上は下地が全面木造(板張り)です。撤去を進めたところ、その木下地が広い範囲で腐っていることが分かりました。
黒く変色して手で崩せるほど傷んだ箇所もあり、そのまま新しい防水層をつくっても、下地側が持ちません。


お客様に状況をご説明したうえで、腐っていた部分を撤去し、コンパネ(構造用合板)で下地を造り直しました。当初の見積には入っていなかった追加の工事ですが、ここを飛ばすと防水の意味がなくなってしまう部分です。



防水工事は、開けてみて初めて分かることが少なくありません。想定と違う状態が出てきたときに、その場で対応を決めて手を動かせるのが自社職人の強みだと思っています。
3. 通気緩衝シートの敷設
下地が整ったら、平場に通気緩衝シートを敷いていきます。
今回の屋上は、木下地まで雨水がまわっていました。こうした下地には水分が残っており、その上に防水層を密着させて塗ってしまうと、日射で温められた水分が水蒸気になって逃げ場を失い、防水層を内側から押し上げて「ふくれ」を起こします。
サラセーヌの通気緩衝工法は、下地と防水層の間に通気層のあるシートを挟み、この水蒸気を横に逃がす工法です。下地に水分が残っている改修工事では、密着工法よりこちらが適しています。

シート同士のジョイント(継ぎ目)は、テープと防水材で丁寧に処理します。ここが甘いと、せっかくの通気層が水の通り道になってしまいます。

4. 脱気筒の取り付け(2本)
横に逃がした水蒸気を外へ抜くための出口が脱気筒です。
今回の屋上は細長い形状のため、1本では端まで通気が行き渡りません。両端に2本設置し、屋上全体の水蒸気が抜けるようにしています。

ここまでで、防水層をつくる前の準備がすべて整いました。

5. ウレタン塗膜防水(平場26㎡・立上り8.76㎡)
下地が整ったところで、ウレタン防水材を塗っていきます。今回使用したのはAGCのサラセーヌです。
平場は通気緩衝工法で26㎡。立上り(壁が立ち上がっている部分)は、高さ300mm・延長29.2mで8.76㎡を、密着工法で施工しました。立上りは下地に水分が溜まる部位ではないため、こちらは密着工法が適しています。
ウレタン塗膜防水は、液体の防水材を塗り重ねて、継ぎ目のない防水層をつくる工法です。細長い形状や、立上り・入隅が多い屋上のように、形が複雑な場所でもすき間なく仕上げられます。

6. トップコートで仕上げ
最後にグレーのトップコートを塗って仕上げます。
トップコートはウレタン防水層を紫外線から守る保護層で、防水層そのものより先に傷んでいきます。数年ごとに塗り替えることで、下の防水層を長持ちさせられます。

なお今回は外部足場を組まず、荷揚げウインチのみで材料を上げています。足場を組まずに済んだぶん、工事の規模と工期を抑えられました。
施工後
床から立上りまで、継ぎ目のない防水層で仕上がりました。グレーのトップコートで、見た目もすっきりしています。

工期は2026年8月、実働4〜6日。8月上旬に着工し、お盆明けに完了しています。保証は10年です。
まとめ
今回の工事のポイントは、次の3点でした。
- 長尺シートの下にFRP防水があり、防水層が二重になっていた。表面だけでは原因に届かないため、両方を全面撤去した
- 木下地まで雨水がまわっていたため、水分を逃がせるサラセーヌの通気緩衝工法を選び、細長い屋上に合わせて脱気筒を2本設置した
- 撤去して初めて分かった木下地の腐りに対して、コンパネで下地を造り直してから防水層をつくった
屋上やバルコニーの防水は、上から重ねて直せる場合と、一度撤去しないと解決しない場合があります。どちらになるかは、実際に現地を見て、下地の状態まで確認しないと判断できません。
丸山防水工業は江東区の防水専門店です。江東区・墨田区・江戸川区を中心に、東京東部から世田谷区まで、自社の職人が施工しています。屋上・バルコニーの防水、雨漏りのご相談は、お気軽にお問い合わせください。現地の確認にスピード対応いたします。
防水・外壁改修工事は、適切な工法と確かな施工技術によって、建物の寿命を大きく延ばすことができます。有限会社丸山防水工業は、創業以来60年以上にわたり防水工事を専門に手がけてきた自社職人が、責任を持って施工いたします。
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